取材

〈キャリアサポート担当者解説〉専属産業医が交代となる背景・選任時の報酬相場とは

近年、専属産業医の交代に関する相談が増加しています。
専属産業医が交代となる背景には、どのような理由があるのでしょうか。
また、専属産業医を選任する際のポイントや報酬の相場について、担当者である産業保健事業部 キャリアサポート担当の山下健司さんにお話しを聞きました。

解説:産業保健事業部キャリアサポート担当 山下 健司
2017年に株式会社エムステージ入社。医師紹介事業を経験後、現在は産業保健事業部のキャリアサポート担当として、大規模事業場への産業医紹介をメインに行う。数多くの企業へ専属産業医を紹介してきた実績を持つ。

専属産業医の交代に関する相談が増加している背景

大規模事業場では、専属産業医を交代するケースが増えていると聞きますが、その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

専属産業医の交代が増えている背景には「自社産業医の高齢化」や「健康経営へのチャレンジ」といったものがあります。
実際に、大規模事業場を有する企業様から多く寄せられる相談内容のトップ2です。
特に、バブル期から成長してきたメーカー等では、継続して契約している専属産業医が60歳・70歳代になっているケースが多く、産業医自身が引退を考えているものと思われます。
また、世の中では「働き方改革」や「健康経営」といった大きな潮流がありますので、こうした活動に注力すべく、“頼れる専属産業医”への交代を検討している企業様が増えている印象です。

専属産業医の交代や紹介に関して、企業からはどのような要望がありますか。

「自社にマッチする専属産業医を選任したい」というご要望があります。
専属産業医が交代となる際、これまでは、現任の産業医から知人の医師を後任の産業医として紹介してもらうケースが多かったようです。
しかし、医師ひとりのネットワークには限界があることや、自社が希望するタイプの産業医とマッチングしないことが課題となっていました。
このように、昨今では大手企業様を中心に健康意識の高まりがあり、産業医を“自分たちで選ぶ”ケースが増加しています。
大規模事業場となれば、多くは専属産業医を選任することになりますので「自社の求める産業医像」が明確になっていることが多いのです。

今、大規模事業場からはどのような産業医を求められているのでしょうか。

大規模事業場を有する企業様は、製造業・メーカー等が多いため、産業保健活動は「安全」がメインになりますが、最近ではメンタルヘルス不調の対策に力を入れたいという相談も非常に多く受けます。
ですので、同業種での産業医経験を持っている医師を希望されるケースが多い。
そして、年齢的には50代半ばくらいの産業医を探している企業が多いですね。その理由を聞くと「臨床の経験が豊富な産業医を求めている」と聞くことがあります。
専属産業医の活動では、各部署や従業員とのコミュニケーションが大切になりますので、臨床を通じて“どれだけ人とのコミュニケーションを取ってきたか”ということを重視されています。
また、大規模事業場では、ここ数年で外国人の従業員も増えており、英語やポルトガル語、中国語など「外国語が話せる産業医」を希望されることも多いです。

産業医の有する経験・キャリアについては、どのようにして把握していますか。

実は、産業医としての経験が豊富かどうかは、単純に経歴や年数ではわからないところが多いのです。
その理由は、働き方改革の際に大きな話題となった「産業医の名義貸し(※)」の存在で、名義を貸していただけの期間を、産業医のキャリアとしてカウントする医師もいるからです。
しかし、こうした名義貸しのキャリアでは、選任後に企業・事業場とミスマッチの原因になることが多いのです。
ですので、私どもキャリアサポート部は、医師との面談・ヒアリングを繰り返し行い“実際のキャリア”を見極めています。
その上で、企業様に最適な産業医を紹介できるように努めているのです。
※「産業医の名義貸し」:事業場を訪問することなく、産業医が名義だけを貸している状態。企業や従業員の健康・安全を損ねるだけでなく、法違反のリスクがある。

“名義貸し”の専属産業医を交代しないリスクと、選任時の報酬相場

専属産業医を「名義貸し」状態にしておくことのリスクについて教えてください。

産業医の名義貸しには数多くのリスクがあり、安全配慮義務違反はたびたびニュースにもなりますよね。
こうしたことを発端に「うちの産業医が何もしてくれない」という企業様からのご相談も多くあります。
大規模事業場はメーカーや工場であることが多く、具体的なものでは労働災害による死亡・怪我のリスクがあります。
また、産業医が機能していないことによって、メンタルヘルス不調による休職・離職の可能性が高まり、最悪のケースでは従業員からの訴訟リスクもあるのです。
こうした事態を防ぐためにも、頼れる専属産業医を選任することが大切になっているのです。

専属産業医を選任する際の費用・報酬とその相場について教えてください。

専属産業医の報酬相場は、勤務する日数やキャリアによって幅があります。
一つの目安として、例えば週3日勤務であれば年間900万円程度が相場、週5日勤務であれば年間1,500万円というのが報酬の相場ですね。
つまり「週1日勤務あたり年間300万円」ということが、専属産業医の報酬相場といえます。
また、その他の条件として、産業医としての特別なキャリアがあることや、高いスキルがある等の場合には、この相場にプラスした報酬になることもあります。
これはあくまで目安となります。予算などについては、キャリアサポート担当であるわれわれが、企業様と産業医の先生の双方からしっかりとヒアリングし、ご調整させていただいております。

企業が産業医の選任に注力する理由を、もう少し詳しく教えてください。

産業医の選任に注力すること、企業・従業員の健康管理に投資することは、大きなメリットが期待できるからです。
例えば、健康経営の推進は投資家や拠点のある地域など、ステークホルダーへの影響が大きいため、大企業や大規模な事業場として見過ごすことはできません。
そして、最近では健康経営やESG投資の観点から、自社の経営層に産業医を就任させる企業様も増えてきています。
2020年には新型コロナウイルスが世界的に流行し、事業継続の視点で従業員の健康管理をすることが重要になりました。
産業医には、健康面に関する事業継続のアドバイザーとしての機能も求められており、多くの企業で力を入れているのです。

最後に、キャリアサポート担当者として心がけている活動を教えてください。

まずは「事業場の抱えている課題は何か?」ということを常に念頭に置いて、企業様からのお話しを聞くようにしています。
また「もっと健康経営を推進したい」というご相談に関しても、詳細なヒアリングは欠かしません。
エムステージには、全国的に10,000名以上の産業医が登録されており、産業医のキャリアもスキルも様々です。
その中から産業保健キャリアサポート担当として、最適な専属産業医をご紹介できるよう尽力します。

エムステージの専属産業医紹介プランについて

URL:https://sangyohokensupport.jp/sangyoui/senzoku
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