アンケート

ウィズコロナの働き方改革。
大企業向けアンケート『企業の働き方改革と産業保健活動の実態』結果報告。
関連法案施行から1年、企業の“意識”と“実態”の差

従業員数300人以上の企業の人事、労務担当者向けに『企業の働き方改革と産業保健活動の実態』についてアンケート調査を実施しました。

94%が働き方改革を実施していると回答したものの、具体的な取り組みで「産業医・産業保健機能の強化」と回答は30.2%、法令で定められている「2か月に1度以上の職場巡視」については50.5%という結果でした。
一方で「産業保健についてコンプライアンスを果たせていますか。」の問いには、「果たしている」「わからない」で89.4%となり、産業保健活動の取り組みの“意識”と“実態”に乖離があることがわかりました。

今後、働き方改革をさらに加速させていくためにも、産業医・産業保健機能の強化をすすめていく必要があります。

結果概要とポイント

  • 94%の企業が働き方改革に取り組んでいると回答し、約70%が実際に改善や良い効果を感じています。
  • 具体的な取り組みでは「残業時間の抑制」「年次有給休暇の取得促進」が約90%と多くの企業で取り組みがみられている一方、「産業医・産業保健機能の強化」は約30%と、取り組み内容に差がみられました。
  • 約半数の企業で産業医が働き方改革に関わっていると回答した一方で、法令で産業医の業務内容の1つとして決められている「2か月に一度以上の職場巡視」を実施している企業は約半数となり、約半数は労働基準監督署から指摘される潜在的なリスクがあることがわかりました。
  • 選任している産業医の業務内容に「満足している」企業は約60%であるものの、約20%は「満足していない」と回答、産業医が働き方改革に関わっているかの問いには、関わっているが半数、関わっていないが40%でした。各企業に合わせた産業医の選任で働き方改革の推進がより加速するのではと推測されます。
  • 企業の約70%が産業保健のコンプライアンスを「果たせている」と回答した一方、法令順守できていない部分もあり、産業保健に対する企業の“意識”と“実態”に差があることがわかりました。

アンケート結果

Q1. 働き方改革関連法が施行されておよそ1年が経ちますが、あなたの会社では現在何かしらの取り組みを行っていますか。

「取り組んでいる」が94%、「取り組んでいない」が4%、「わからない」が2%でした

Q2. あなたの会社では、働き方改革のためにどのような取り組みを行っていますか。(複数回答)

複数回答で、「3.年次有給休暇の取得促進」「1.残業時間の抑制」がそれぞれ89.4%、88.9%と高く、次いで「5.労働時間の客観的な把握」が53.8%、「6.フレックスタイム制の導入・拡充」が44%、「8.産業医・産業保健機能の強化」が30.2%でした。
「2.「勤務間インターバル」制度の導入」が23%、「4.残業の割り増し賃金率引き上げ」が10.4%、「高度プロフェッショナル制度の導入」が7%でした。

50人以上の事業場では産業医の選任が法令で定められていることから、回答企業の多くは産業医を選任していることが予想されるため、産業医・産業保健機能を強化しうまく活用していくことで、働き方改革の加速につながることが期待できます

Q3. 働き方改革への取り組みによって、実際に改善や良い変化はみられましたか。

「大変あった」「あった」で69.1%と、取り組みによって約70%が改善や良い変化があったと回答しています。「変わらない」「なかった」が27.8%、「わからない」が3%でした。

取り組みをしても変化が見られなかった企業が約30%あり、取り組み内容の修正や改善が必要であることがわかりました。

Q4. あなたの会社では、産業医が働き方改革に関わっていますか。

「関わっている」が49.2%、「関わっていない」が40.2%と、約半数の企業で産業医が働き方改革に関わっていることがわかりました。

医学的知識をもつ産業医は、働き方改革のキーパーソンの1人です。企業の実情を把握し、医学専門的なアドバイスができる産業医をうまく活用することで、働き方改革をより加速させることが可能でしょう。

Q5. あなたの会社の産業医はどのように見つけましたか。

「健診機関からの紹介・近隣のクリニック」が27.8%、「医師会からの紹介」が23.2%、「紹介業者の利用」が11.4%、「知り合いに産業医がいた」が10.6%という結果でした。また14%が「(産業医を)選任していない」と回答しています。

Q6. あなたの会社では、産業医はどのような業務を行っていますか。(複数回答)

「1. 衛生委員会の出席」が66.5%、「5. 高ストレス者や長時間労働への面接指導」が65.6%、「3. 定期健診の就業判定」が64%、「4. ストレスチェック実施者業務」が59.3%、「6. 休職者・復職者への対応」「7. 健康相談」がともに58.6%、「2. 2か月に1度以上の職場巡視」が50.5%、「8. 働きかた改革等のコンサルティングやセミナー」が9.8%でした。

1~7はすべて産業医の業務として定められているものですが、認識と実態に差があるのか上記のような結果でした。企業の産業保健活動の担当者と産業医の情報共有や連携が必要かもしれません。

また「2. 2か月に1度以上の職場巡視」は法令で定められているため、産業医を選任している場合、その事業場では必須になります。
労働基準監督署に指摘される可能性があるため、企業の産業保健活動担当者は産業医と話し合う必要があります

Q7. 現在の産業医の業務内容に満足していますか。

「満足している」が57.9%、「満足していない」が22.6%、「わからない」が19.5%でした。

半数以上の企業では現在の産業医の業務内容に満足している一方、約20%は満足しておらず、せっかく産業医を選任していてもうまく活用できていないことがわかりました
企業に合った産業医の選任で、働き方改革に取り組んでいく必要があります。

Q8. 今後、あなたの会社で、産業医業務に求めることはどのようなことですか。

「4. 面談・面接対応の強化」が54%、「1. 産業保健スタッフとの連携」が52.1%、「2. 産業保健スタッフの負担軽減」が26%、「3. 選任事業所以外への連携・対応」が20.2%、「5. 働きかた改革等のコンサルティングやセミナー」が16.7%でした。

Q9. あなたの会社では、産業保健にかかわるスタッフとして産業医以外の専門職種を設置していますか。(複数回答)

複数回答可で「1. 保健師や看護師」が47.4%、「5. 配置していない」が36.4%、「2. 臨床心理士やカウンセラー」が22.8%、「3.社労士」が15.4%、「4.その他」が1.8%でした。

産業医だけでなく保健師など、他専門職種も設置することで、より深い産業保健が可能になります。また専門職種だけでなく、企業の人事・労務、総務などの担当者がチームとなって活動をすることが大切です。

Q10. 今後、専門職種の設置・追加を検討していますか。

「検討している」が27.8%、「検討していない」が42.6%、「わからない」が29.6%でした。

Q11. 産業医以外の専門職種に期待することはどのようなことですか。(複数回答)

「1. 事務スタッフとの連携」が57.5%、「3. 面談・面接対応の強化」が49.4%、「2. 事務スタッフの負担軽減」が37.1%、「4. 働きかた改革等のコンサルティングやセミナー」が20.1%でした。

Q12. あなたの会社は産業保健についてコンプライアンスを果たせていますか。

「果たしている」が65.4%、「果たせていない」が10.6%、「わからない」が24%でした。

コンプライアンス順守は企業に求められる姿勢として大変重要です。法令順守の観点からも、自社では何ができていて、何ができていないのか把握する必要があります

新型コロナウイルス感染症によって加速した「働き方改革」

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、アンケート実施時点(2月)とはさらに状況が変わっていることが想定されます。
多くの企業では在宅勤務や時差出勤をはじめとした働き方改革が結果的に加速している状況の中、これらの働き方は、厚生労働省の「新しい生活様式」内でも「新しい働き方のスタイル」として提唱され、ウィズコロナ時代に標準的な働き方となっていくことが予想されます。また、今後迎える「深刻な労働力不足時代」に備えるためにも、すべての企業が取り組むべき改革といえるでしょう。

合わせて、把握しづらいと言われるリモートワーカーの心身の健康管理が今後の働き方改革の課題となってきます。こうした「健康経営」の根幹は産業保健活動であり、キーパーソンの産業医とともに産業保健機能を強化していくことで、各企業に合った働き方改革が進んでいくでしょう。

企業が産業保健機能の強化を行うことで、離職や休職を防止につなげることが可能となり、事業継続の観点からも重要な役割を果たします。
こうした変革期には健康トラブルも増加傾向にあるため、企業が課題を把握し、適切な産業保健活動に取り組んでいくことが求められています。

アンケート概要

集計期間:2020年2月
対象:300人以上の企業の人事・労務担当者
有効回答数:500社、500名

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