アンケート

【コロナ禍での企業の産業保健活動調査】
産業医の企業訪問をオンライン希望した企業が6割以上
アフターコロナは社員のメンタルヘルスケアを強化したい企業が約8割という結果に

2020年6月11日~17日の間に、59社の人事担当者に『新型コロナウイルス禍での、産業保健活動の状況』についてアンケート調査を実施しました。その結果について、専門家の分析を併せてリリースします。

調査結果のポイント

  • 産業医の活動については、35%の企業が「オンライン化」しました。同時に61%の企業で「オンライン化への対応を希望している」ことが分かりました 。
  • 企業が今後、強化したいと考える項目は「従業員のメンタルヘルスケア」で、76%以上の企業が課題として捉えています。
  • 具体的な施策としては、「メンタルヘルス研修の実施」、「相談窓口の開設」、「職場環境の改善取り組み」への高い意向がみられました。

アンケート結果

Q. 緊急事態宣言下における、産業医の訪問状況を教えてください

「通常通り訪問した」が29%、「オンラインで実施した」が35%、「延期した」が24%、「キャンセルした」が12%でした。
 
多くの企業が出社を控える中で、一定数の企業がオンラインでの実施に切り替えました。

Q.産業医の訪問をオンライン実施した企業:通常訪問とオンラインで感じた違いはありますか

「変わりなし」が52%、「効果が低いと感じた」が44%、「効果が高いと感じた」が4%でした。

■効果が低いと感じた理由(フリーコメントより抜粋)
・意思の疎通がむずかしい。タイムラグがあることや空気感が感じづらく、対面よりも会話が減った。
・オンラインに順応している社員への効果は訪問時と同じだったが、年配社員など順応できない社員への効果は発揮できなかった。
・オンラインで職場巡視は難しい 。
・機材環境が悪く声が聞こえにくかった。オンライン会議設定の手間暇がかかる。
 
■効果が高いと感じた理由(フリーコメントより抜粋)
・今後オンライン会議が主流となっていく現状に合っている 。

オンラインによる産業医活動のニーズが高まっているものの、コミュニケーション方法や機材設定にとまどいを感じる場面があったことがうかがえました。特に、訪問が重要となる職場巡視や、オンラインに慣れていない社員との面談では効果が低いと感じる企業が一定数ありました。

Q. 今後もオンラインによる産業医面談等の利用を希望しますか

「引続き活用したい」が29%、「利用したことはないが活用したい」が32%、「活用したくない」が39%でした。「活用したい」は合わせて61%と、半数以上の企業がオンラインの活用を希望しました。
 
オンラインを活用した35%の企業のうち、29%が引続き活用を希望していることから、オンラインでの産業保健活動に一定の評価がみえました。衛生委員会などオンラインで可能なものと訪問が必要なものを、今後見極めて対応する企業が増えると予想されます。

Q.今後、従業員の健康課題として強化が必要な項目は何ですか(複数回答可)

「メンタルヘルス」が76.3%、次に「運動不足」が42.2%、「肥満」が22%と生活習慣に関する項目が高い数値として続きました。
 
自粛生活による、いわゆる“コロナうつ”や在宅勤務による生活習慣の乱れへの対策の必要性を感じている企業が多いことがうかがえました。

Q.今後、従業員に対して具体的にどのような健康支援を行っていきたいと考えますか(複数回答可)

「職場環境の改善」が52.5%、「メンタルヘルスの相談窓口」が47.5%、「メンタルヘルス研修」が42.2%でした。
 
具体的な対策として、従業員の知識を高める研修や、相談窓口の設置など、在宅勤務が増え、目が行き届きにくくなる従業員によりそった対策を検討している企業が多くみられました。

Q.今後、産業医へ期待することはなんですか(フリーコメントより抜粋)

・メンタルヘルスに対する施策、提案、他社事例の提供
・コロナ疲れ、在宅疲れの社員の心身のケア
・withコロナ、afterコロナにおける職場環境と健康管理
・新型コロナウイルスの正しい情報提供、厚労省方針等の解釈の提供
・健康増進の助言
・健康診断の助言

ウィズコロナ時代に則した、従業員ケアの実施や情報提供が強く求められている結果となりました。
緊急事態宣言前後で、産業医の「重要度が上がった」・「変わらず重要」、と回答した企業は97%に上っており、引き続き産業医を中心とした産業保健活動の実施が期待されています。

調査結果の分析コメント

産業医・精神科医 穂積 桜医師
テレワークによる運動不足やメンタルヘルスケアは大きな問題ですが、テレワークでのラインケアで従業員の正確な状況を把握することは非常に困難です。人事労務担当者から積極的に、従業員の状況を把握していく取り組みが必要となります。
またコロナに負けない会社の持続的な成長のためには、フェーズに応じた感染拡大予防策、職場内に感染者や濃厚接触者が出た場合のフロー、そして長期的には事業継続計画の策定が重要です。感染防止教育などについて、産業医・人事・経営責任者らが一体となって策定を行うべきです。厚生労働省の職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト、日本産業衛生学会・日本渡航医学会『職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド』などを参考にするといいでしょう。

株式会社エムステージ 産業保健事業部 取締役  歌代 敦
今回のアンケート結果より、コロナ禍における企業の産業保健活動の実態として、「オンライン」を積極的に活用し、感染症予防や今後悪化が想定される従業員のメンタルヘルスケアに関する衛生委員会の開催などを検討している傾向がみられました。
現在の労働安全衛生法においては、毎月(隔月)産業医が事業所に訪問し、職場巡視や面談等を行う必要があります。今後も訪問業務は重要ですが、ウィズコロナ・アフターコロナでは、在宅勤務の推進やBCPの観点より、企業の産業保健活動や従業員の健康管理のあり方の再構築が求められるでしょう。

調査概要

アンケート実施期間:2020/6/11~2020/6/17
対象者:企業の人事労務担当者
回答方法:WEBを利用したアンケート調査
有効回答数:59社

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