【健康経営優良法人2027認定要件】まだ間に合う!健康経営度調査票・申請書の変更点
サンポナビ編集部


平成28年度に創設された経済産業省の認定制度「健康経営優良法人」は、その認定企業数が年々増えており、昨年度の「健康経営優良法人2026」には大規模法人部門3,765法人、中小規模法人部門では23,085法人が認定されました。
健康経営®を推進し健康経営優良法人に認定されることは、いわば「ホワイト企業の証明」にもなるため、企業等からの注目が高まっています。
この記事では、本制度の基本的な知識から、昨年度から変更が加わった「健康経営優良法人2027(令和8年度)」認定要件のポイントを解説します。申請方法やスケジュールも紹介しますので、健康経営優良法人の申請、認定取得の参考にしてみてください。
〈編集部注〉申請期間や認定の基準等については記事作成時点での情報です。必ず経済産業省などのホームページにて確認してください。
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監修:亀田 高志
(株式会社健康企業 代表取締役・医師 / 日本医師会認定産業医 / 労働衛生コンサルタント)
健康経営優良法人2027の申請期間
●大規模法人部門の申請期間
2026年8月17日(月)~10月9日(金)※17時締切
●中小規模法人部門の申請期間
2026年8月17日(月)~10月16日(金)※17時締切
大規模法人部門は、中小規模法人部門よりも1週間、申請期間が短いため注意しましょう。
令和8年度の健康経営優良法人の認定スケジュールは例年通り、8月中旬に調査回答・申請受付を開始し、年明けの審査期間を経て翌3月に認定企業が発表されます。
健康経営優良法人2027の認定要件
健康経営優良法人認定を取得するためには、定められた評価項目をクリアする必要があります。
大規模法人部門、中小規模法人部門のどちらも5つの「大項目」で構成されています。
行政による施策や他のマネジメントシステムの規格と同じ流れですが、PDCA(計画→実行→評価→再計画)を通して継続的な改善を目指す枠組みです。
- 経営理念
- 組織体制
- 制度・施策実行
- 評価・改善
- 法令遵守・リスクマネジメント
「ホワイト企業の証明」ですから、厚労省による法的要求事項の順守は最低限の約束となり、これらの5つの「大項目」の下には、さらに細かな「中項目」「小項目」と、具体的な施策が設定されています。
令和8年度の認定要件の詳細は、株式会社日本経済新聞社が運営する、「ACTION!健康経営」の申請ページから確認ができます。
【2027 大規模法人部門 認定要件】

引用:健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 ACTION!健康経営(日本経済新聞社 )
【2027 中小規模法人部門 認定要件】

引用:健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 ACTION!健康経営(日本経済新聞社 )
認定を受けるには、「健康宣言の社内外への発信」や「法令遵守」といった、評価の土台となる「必須項目」をすべて実施したうえで、運動機会の促進や食生活の改善などの「選択項目」の中から、定められた項目数を取り組むことが求められます。
「どの設問が必須になるか」「選択項目の中から何項目以上の取り組みが必要か」という具体的な対象や数字は毎年マイナーチェンジされます。
「昨年と同じ対策で大丈夫」と過信せず、必ず最新年度の申請ガイドラインを確認しましょう。
上位認定(ホワイト500・ブライト500等)を目指す場合の追加要件
ホワイト500やブライト500、ネクストブライト1000といった上位認定を目指す場合には、より高度な取り組みが「追加の必須項目」として課されます。
上位認定は、単に「健康経営に取り組んでいる」というレベルを超え、全認定法人の中でもトップクラスの推進体制と実効性を備えていることを公式に証明された、他の企業、団体のロールモデルとも言える「トップランナー」の証です。
健康経営優良法人2027 改訂のポイント
前年度の改訂で申請数が増加した一方、企業から寄せられた「設問数が多く回答負担が大きい」という声に応え、令和8年度の改訂では「回答負担の軽減」を最優先課題として見直しが行われました。
令和8年度の主な改訂ポイントは以下の10項目です。
なお、⑥〜⑩の項目については、経済産業省が推進する政策との連動を踏まえた改訂が行われています。
| 改訂ポイント | 改訂の種類 | 部門 |
| ①自社従業員以外への健康経営の普及・浸透 | 設問の再構成、及び改訂 | ホワイト500 (大規模) |
| ➁従業員への健康経営の理解・促進 | 設問の再構成、及び改訂 | ホワイト500 (大規模) |
| ③健康経営の方針等の 社内外への発信 | 設問の再構成 | 大規模 |
| ④適切な働き方実現に向けた取り組み | 評価項目名変更 | 大規模 中小規模 |
| ⑤長時間労働者への対応に関する取り組み | 評価項目名変更 | 大規模 中小規模 |
| ⑥睡眠に関する取り組み | 設問新設 | 大規模 |
| ⑦PHRを活用できる環境整備 | 設問改訂、及び 中小アンケート追加 |
大規模 中小規模 |
| ⑧健康投資額の確認 | アンケート新設(配点なし) | 大規模 |
| ⑨テーマ別ベストプラクティス選定 | アンケート新設(配点なし) | 大規模 中小規模 |
| ⑩ライフデザイン経営の認知 | アンケート新設(配点なし) | 大規模 |
※第6回 健康経営推進検討会 参考資料「令和8年度健康経営優良法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告」(経済産業省)を編集して作成
①自社従業員以外への健康経営の普及・浸透 【ホワイト500】
前年度からの「企業間での健康経営の普及・支援」に加え、「他社からの派遣社員等」や「家族」への健康支援がホワイト500の認定要件として追加されました。
以下の要件(1)と(2)のどちらも満たす必要があります。
要件(1):他社からの派遣社員等、または家族への健康支援
- a.他社からの派遣社員や常時使用しない従業員等への健康支援
または 【or】 - b.家族が利用できる健康支援・制度の提供
要件(2):企業間での健康経営の普及・支援
- a.グループ会社への健康経営推進方針の浸透
かつ【and】 - b.取引先・他社・個人事業主への健康経営支援
家族の支援以外は企業等の人事労務や安全衛生部門が管掌する厚労省の施策と連動しています。
なお、令和9年度より、要件(1)においてもa.b.双方の取り組み【and】が必須化される予定のため、早期の準備が推奨されます。
➁従業員への健康経営の理解・促進 【ホワイト500】
前年度は「経営理念・方針」の大項目において、経営トップによる発信内容の深さや、健康経営推進担当者・管理職による取り組み内容といった、「発信・推進側」の動きを中心に、ホワイト500の認定要件としていました。
令和8年度では「組織体制」の大項目へ設問を再構成し、発信・推進側の取り組みだけでなく、従業員の理解・促進までの取り組みが、ホワイト500の認定要件として追加されました。
「管理職」と「一般従業員」という役割の異なる双方に対し、以下の3点について回答・記述が求められます。分かりやすく言えば、社内への周知と浸透を図ることが求められています。
- 健康経営に関する情報の発信方法
- 健康経営に関する情報の発信内容
- 健康経営に対する理解を深めるための工夫
③健康経営の方針等の社内外への発信 【大規模】
自社のWebサイト等において、健康経営の「目的」と「体制」が一元的にまとめられた媒体・URLの提示を求める設問が設けられました。
開示している媒体数の多さを問う趣旨ではないため、原則としてこれらが一元的に確認できる1つの媒体・URLを指定します。
「目的」または「体制」のどちらか一方でも記載が欠けている場合は不適合となるため注意が必要です。
④⑤適切な働き方の実現と長時間労働者に対する取り組み【両部門共通】

引用:第6回 健康経営推進検討会 参考資料「令和8年度健康経営優良法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告」(経済産業省)
前年度までは「適切な働き方の実現」という評価項目の中に「労働時間の適正化」が含まれていましたが、令和8年度の改訂では役割ごとに整理され、以下の2つの評価項目へと再構成されました。
ワークライフバランスの実現に向けた取り組み
- 休暇の取得促進
- 柔軟な働き方の実現
長時間労働の予防と事後対策
- 労働時間の適正化(予防)
- 長時間労働者への取り組み(事後対策)
「労働時間の適正化(予防)」と「長時間労働者への取り組み(事後対策)」が1つの評価項目に一元化されたことで、予防から事後対応まで一貫した対策が求められる形に整理されました。例えば勤務間インターバル制度の設置も項目に含まれています。
なお、「長時間労働の予防と事後対応」は申請部門により認定要件が異なります。
- 大規模法人部門:双方の実施が必須
「予防」と「事後対策」の両方に取り組むことが認定条件となります。 - 中小規模法人部門:いずれかの実施でOK
「予防」または「事後対策」のどちらか一方で認定条件を満たします。
ただし、中小規模法人部門も令和9年度には双方の実施が必須化される予定のため、早期の準備が推奨されます。
⑥睡眠に関する取組【大規模】
従業員の生産性向上(プレゼンティーズム対策)に向けた睡眠の重要性を踏まえ、睡眠不足への対策に関する設問が独立して新設されました。
⑦PHRを活用できる環境整備【大規模・中小規模】
従業員が自身の健康医療情報(PHR:パーソナルヘルスレコード)を活用できる環境の整備状況を確認する設問が、中小規模法人部門にも追加されました。また、大規模・中小規模で設問や選択肢が統一されるよう、大規模法人部門の設問が改訂されました。
⑧健康投資額の確認【大規模】
企業が健康経営に対してどれくらいの投資を行っているか、政策的な実態把握を行うため、配点なしのアンケート設問が新設されました。
⑨テーマ別ベストプラクティス選定【大規模・中小規模】
「女性の健康保持・増進」や「高年齢従業員に配慮した健康づくりや職場環境整備」など、厚労省施策と連動した政策と親和性の高い特定のテーマについて、企業の先進的かつ実効的な取り組み事例を収集・公表するため、配点なしのアンケート設問が新設されました。
⑩ライフデザイン経営の認知【大規模】
経済産業省が推進している“社員がキャリアとライフを両立し、充実したライフデザインを実現できる環境を提供することで、人材の能力を最大限引き出し、企業価値向上につなげる経営のあり方”と定義する「ライフデザイン経営」について、企業での認知状況を把握するため、配点なしのアンケート設問が新設されました。
健康経営優良法人2027の申請方法
申請手順が異なる大規模法人部門、中小規模法人部門について、申請から認定までのステップを解説します。

引用:令和8年度健康経営優良法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告 |健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)
大規模法人部門認定までのステップ
【STEP1】申請準備
申請の開始方法は自社の状況に応じて異なります。申請手続きに進む前に、自社がどれに該当するか確認しましょう。
- 昨年回答していない上場企業
受付開始時に、事務局より郵送で案内が届きます。 - 過去に回答したことがある法人
受付開始時に、ご登録済みのメールアドレス宛に事務局より案内が届きます。 - 初めて回答する非上場法人
事前にACTION!健康経営(日本経済新聞社)より新規ID発行が必要です。登録完了後、メールにて案内が届きます。
【STEP2】「健康経営度調査票」をダウンロード
案内に従って専用サイトへアクセスし、経済産業省が実施する「健康経営度調査票」をダウンロードします。
【STEP3】「健康経営度調査票」に自社の取り組み状況を記載してアップロード
ダウンロードした調査票に、自社の健康経営に関する施策や実績データなどの必要事項を記載します。専用サイトにアップロードすることで、申請手続きが完了します。
【STEP4】申請料の請求・振込
申請書類のアップロード完了後、事務局より認定申請料の請求案内(電子請求書等)が発行されます。
案内に記載された期日までに指定口座へ申請料を振り込みます。
期日までに支払いが確認できない場合、審査対象外となるため注意が必要です。
なお、大規模法人部門については、12月中旬頃に認定に先立って「フィードバックシート速報版」が送付されます。
【STEP5】審査・認定発表およびフィードバック
提出データに基づき審査が行われ、翌年3月に日本健康会議より正式な認定発表が行われます。
認定の有無に関わらず、自社の強みや改善点が詳細に可視化された確定版の「フィードバックシート」が提供され、次年度の推進計画や取り組みのブラッシュアップに活用できます。
中小規模法人部門認定までのステップ
【STEP1】申請準備
- 過去に申請したことがある法人
受付開始時に、ご登録済みのメールアドレス宛に事務局より案内が届きます。 - 初めて申請する法人
事前にACTION!健康経営(日本経済新聞社)より新規ID発行が必要です。登録完了後、メールにて案内が届きます。
【STEP2】「健康宣言事業」に参加し、「認定申請書」をダウンロード
協会けんぽ等、加入している保険者の「健康宣言事業」に参加・登録した上で、事務局からの案内に従い専用サイトより「認定申請書」のファイルをダウンロードします。
【STEP3】「認定申請書」に自社の取り組み状況を記載してアップロード
ダウンロードした「認定申請書」に自社の取り組み状況や必要事項を記入し、受付期間内に専用サイトからアップロードして提出を完了させます。
【STEP4】申請料の請求・振込
申請書類のアップロード完了後、事務局より認定申請料の請求案内(電子請求書等)が発行されます。案内に記載された期日までに指定口座へ申請料を振り込みます。
期日までに支払いが確認できない場合、審査対象外となるため注意が必要です。
【STEP5】審査・認定発表およびフィードバック
提出データに基づき審査が行われ、翌年3月に日本健康会議より正式な認定発表が行われます。
認定後、ブライト500を申請した法人には取り組み内容に関する「フィードバックシート」が提供され、次年度の推進計画や取り組みのブラッシュアップに活用できます。
健康経営優良法人の認定取得は入念な準備が必要
健康経営優良法人の認定は、企業の価値向上につながる多くのメリットをもたらします。
一方で、申請準備には手間がかかり、健康経営推進体制の構築など組織的な対応が不可欠です。
特に、令和8年度からは、睡眠対策やPHR活用の環境整備が評価対象として組み込まれるほか、長時間労働対策における「予防と事後対策」の一体化など、より高度かつ最新の政策に即した専門的な対応が求められます。
【監修者コメント】
他方、今年度の認定を受けられなくとも、その申請の手続きを初年度の取組として行うことは自社等の取組の現状を把握することができ、来年度以降の認定取得の準備として、一定の効果が期待されます。
申請準備の負担軽減と専門性にもとづく効果的な施策実行のためには、外部の専門家サービス活用も有効な方法の一つです。
株式会社エムステージでは、健康経営優良法人認定取得をサポートする「健康経営優良法人コンサルティング」を提供しています。
「健康経営に取り組みたいけど何から始めればよいかわからない」「社内にリソースがない」という方は、お気軽にご相談ください。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
亀田 高志
株式会社健康企業 代表取締役 / 医師 / 労働衛生コンサルタント /
日本医師会認定産業医 / 日本内科学会認定内科医
1991年産業医科大学医学部卒。大手鉄鋼メーカー等の産業医、米国コンピュータ関連企業のアジア太平洋地域の健康管理担当、産業医科大学講師を経て、母校が2006年10月に設立したメンタルヘルス対策等を提供するベンチャー企業の創業社長を10期務める。2016年5月に任期満了で退任後、危機管理対策、人的資本経営の実践に領域を広げて、企業や自治体等の人事部門等に向けたコンサルティング、教育、啓発を手掛ける。担当した研修、講演会は延べ2千数百回、受講者は9万人以上。

