健康経営優良法人(ホワイト500)に6年連続認定され、きめ細かな産業保健活動に取り組まれている株式会社イトーキ様。
自社内のみならず、顧客企業にも「健康的に働く」ための空間を提供する同社。その活動内容と、健康経営に関するサービスについてインタビューしました。
“働く空間”を提供する立場から、健康経営を実践してきた
初めに、貴社の事業内容などについて教えていただけますか。
当社は、オフィス家具の製造・販売をはじめ、働く空間のコンサルティングまで一貫したサービスを提供している会社です。
1890年の創業以来、100年以上にわたってオフィスに関する製品・サービスを生み出し続け、現在ではオフィスに限らず、医療福祉施設や金融機関、宿泊施設などさまざまな場所で働く空間づくりを行っています。
従業員は約2,040名おり、事業場は東京にある本社の他、大阪などにショールームやオフィスプラザを運営しております。
本社は、健康に関する高い評価項目をクリアしたCASBEE-スマートウェルネスオフィス認証制度、最高ランク(Sランク)認証を取得し、また、次世代のワークスタイルを実践するオフィス空間「ITOKI TOKYO XORK」として展開しています。
働く空間を提供するわれわれ自らが、健康増進や生産性の向上を目指した環境を体現するとともに、お客様にもご見学いただいています。
健康経営優良法人(ホワイト500)にも認定されていますが、産業保健に関する活動内容についてもお聞かせください。
やはり、健康的に働くための空間を提供する企業として、自社の健康経営にはとても力を入れています。
当社では、さまざまな部署の担当者により構成される健康経営推進委員会が中心となり、多角的に産業保健活動を進めております。
一部を紹介しますと、健康診断の受診率が100%というのは当然として、がん検診や卒煙の支援、運動に関するプログラムの導入など、各種の施策に取り組んでいます。
その他にも、全従業員を対象に毎年行う「はたらきかた健診」等を通じて、課題を発見・分析し、改善に努めてきました。
こうした活動が評価される形で、6年連続で健康経営優良法人(ホワイト500)に認定されています。
働き方の変化に合わせ、きめ細かなメンタルヘルス不調ケアを実施
ITOKI TOKYO XORK
新型コロナウイルスの流行によって、働き方等に変化はありましたか。
働き方の変化としては、主にオフィス勤務者にテレワークが導入されました。
現在も社会の感染拡大の状況に応じ、出社とテレワークの比率を変更する等して継続しています。
もともとABW(Activity Based Working)という働き方を実践しているため、インフラ整備やコミュニケーションツール等のIT環境は整備されていましたので、テレワークにも割とスムーズに移行ができました。
また、健康的に働くためには、日頃のコミュニケーションも重要だと考えており、チャット等のツールの活用をはじめ、定期的なウェブ会議や1on1等、ミーティングの機会を大切にしています。
一方で、出社にて同じ現場で働く場合に比べると、在宅で働く従業員のストレス状態が可視化されづらいという課題もあったため、当社ではストレスチェックをはじめとしたメンタルヘルス不調対策に注力してきました。
メンタルヘルス不調対策の施策について教えてください。
具体的な活動内容は、ストレスチェックの実施と結果の活用を軸にして、セルフケアやラインケア等の研修を実施する、といったことに取り組んでいます。
ストレスチェックツールは57項目版にコーピング、プレゼンティーズム、更に当社独自の飲酒・喫煙・運動習慣・在宅勤務等の尺度を加えた「Co-Labo57+」を利用しており、結果がグラフ化される点が分かりやすいと感じています。
ビジュアルとして数値を把握することが出来ますので、管理職が当該部門のメンタルヘルスにより関心を持つきっかけにもなりました。さらに、セルフケアの観点では、エムステージ社/ヒューマネージ社にもご協力頂き、ストレスチェック、コーピング等の考え方の理解を深めるための動画も設置し、視聴してもらう取り組みも実施しています。
また、どの部分に注力すれば改善するのか、職場の課題発見につながっています。
ストレスチェックの結果を見る限り、テレワークなど働き方の変化による大きな影響は無いように感じられましたが、メンタルヘルスについてより一層知識を深めてもらうためにも、ラインケア研修を実施しています。
ラインケア研修の感想はいかがでしたでしょうか。
研修実施後、受講者にアンケートを実施しました。
受講した管理職から寄せられた回答には、「メンタルヘルス不調対策を自分ごと化できた」というものが多かったのです。
また、「心理的安全性」という概念を知ることが出来たのは大きな発見であった、という回答もありました。
研修が管理職の意識向上につながったことは、大きな収穫だと感じています。
講師の方も知識が豊富であり、事例とあわせた解説が理解しやすいと思いました。
研修は部長職以上と課長職に分け、内容も一部変更し、複数回実施しましたが、回が終わるごとにミーティングを行い、講師の方にも受講者の感触などを確かめてもらいました。
ミーティングをもとにして、その次の研修で取り上げるテーマや講義内容のすり合わせを行うことが出来たため、回を追うごとに充実化していったと感じています。
「働く」のリーディングカンパニーとして、「働く」の見える化を社内だけでなく社外にも広めていきたい
株式会社イトーキには従業員の生産性等を計測できるサービスがあると聞きました。
当社では、オフィスや家具を通して「働く」をサポートしてきましたが、最近ではその「働く」をパフォーマンスという観点で見える化するサービスも開始しました。
それが「Performance Trail(パフォーマンストレイル)」というクラウド型のアンケートサービスで、自社でも導入しています。
ストレスチェックとは異なり、メンタルだけでなくフィジカル、ソーシャル(人間関係)といった幅広いコンディションを把握でき、人事だけでなく総務や経営企画など様々な部門が着手可能な課題を抽出できます。また、サーベイ結果をもとに当社がオフィス環境等の働き方に関するコンサルティングも行うことも可能です。
パフォーマンストレイルの特長は、①パフォーマンスという業績に近い指標を採用しているため、②課題抽出、施策検討、効果検証(モニタリング)が可能であり、③管理者だけでなく個人にも直接フィードバックがある点です。また、④メンタル面だけでなく、ソーシャル、フィジカルまで幅広くコンディションを把握でます。さらに、⑤課題も業務にとどまらず働き方、ライフスタイルまで抽出できるため、多角的に改善策の検討が可能です。
このサービスは、当社が2015年に経済産業省から受託した調査事業「健康経営オフィスレポート」で得た知見をきっかけに、その後専門家と発展的な研究を重ねてロジック構築、設問設計を行いました。この点において、当社だからこそ提供可能なサービスといえます。
・Performance Trail(パフォーマンストレイル)の詳細はこちら
最後に、今後の産業保健活動についてもお聞かせください。
当社では従業員の心身の健康を重要な経営課題と捉え、戦略的に健康経営を推進しています。
その結果健康優良法人(ホワイト500)の業界初6年連続取得に至りました。
ただ実態としてはまだまだ意識不足の社員も多く存在します。
健康診断・人間ドックでの個別サポート強化やストレスチェック等の詳細情報の提供で従業員のヘルスリテラシーを向上させていきたいと考えています。
お客様に健康な働き方をご提案する当社社員が先進的な健康経営推進の取組みを実践していると胸を張って言えるレベルにしてまいります。