関西圏を中心に倉庫・物流事業を展開する株式会社三鷹倉庫様は、先端技術の導入や柔軟な働き方の採用など、様々な手法により生産性を向上させています。
同社における産業保健活動の内容と今後の展望についてお話を伺いました。
女性スタッフをはじめ、多様な従業員が活躍できる職場づくり
はじめに、貴社の事業内容についてお聞かせいただけますか。
当社、株式会社三鷹倉庫は国内営業倉庫からスタートし、グローバル物流、物流コンサルティング事業まで展開している会社です。
倉庫事業をはじめ、4PL事業として顧客のニーズに合わせた物流企画、提案、構築、運営といった、倉庫と物流に関連する事業のコンサルティングも行っています。
特徴的なサービスの一つに、商品の写真撮影を通じた販売促進があります。
当社の倉庫内にある写真スタジオ「STUDIO MITAKA LABO」では、プロカメラマンによるeコマース(インターネット通販)用の商品写真を撮影することができます。
これにより、倉庫で商品在庫をお預かりしながら販売促進のプロデュースも行っているのです。同様に縫製機能を持った部署も隣接しており、パンツの裾上や刺繍加工等、一般的な倉庫では対応できないサービスを施設内に保有しており、eコマースの提案や、中国と国内を繋ぐ越境ECの提案も増加傾向にあります。
又、システム面でも物流の「見える化」を目指した先端技術によるツールの導入など、1964年の創業以来、時代に合わせたサービスを提供し続けております。
(三鷹倉庫 HP内 4PL図)
事業場や従業員についても教えてください。
事業場は大阪にある本社をはじめ、兵庫、神奈川、千葉、東京など関西と関東圏に複数の拠点がある他、インドネシアや中国といった海外での事業、海外拠点と国内拠点を結ぶグローバル流通についても展開しています。
従業員数は総勢500名程で、平均年齢は40歳代。新卒の若手社員から再雇用のベテラン従業員まで、様々な年齢層の従業員が在籍しています。
業務内容においてケース単位の出荷よりも、棚から単品でピックし、値札をつけて箱詰めをするなどの細かな作業依頼の割合が高く、多くの女性スタッフが活躍してくれている職場になっています。
その比率は、およそ76:24と女性スタッフの割合が高い会社なのです。
女性スタッフが多い職場だと、いわゆる「寿退社」にて人材の定着が困難になるケースも多いのですが、当社は違います。
結婚・出産などのライフイベントがあっても働き続けられる職場を目指し、育児休暇制度の推進や託児所の設置など、多くの施策に取り組んでいるため、結婚・出産による離職率も低く抑えられています。
柔軟な働き方を採用しつつも、生産性は向上している
従業員の働き方についてお聞かせいただけますか。
働き方に関しては、当社代表による旗振りのもと、フレキシブルな働き方が導入されています。
当社はスピード感のある流通業の影響が強く、当日のオーダー量によってその日の繁閑が左右されますので、終業時間より前に仕事が終わってしまうこともあるのです。
そういった場合、無駄に拘束時間を費やすのでは無く、終了時間を繰り上げる事が可能になっています。また、その裁量も各社員に委ねていますので、仕事が終わった人からどんどん帰っています。結果として自分と会社、両方の時間を大切にする風土が生まれています。
一方で、やはり忙しい日やシーズンもあるわけです。
忙しい時は多少の時間外労働も発生しますから、パートタイマーの方もトータルの勤務時間で年収バランスが取れるようになっています。結果として業務量に合わせた有効な時間管理が出来ていますので、定時に拘っていた時と比べ生産性は向上し、無駄な残業時間も減りました。
もちろん、勤怠情報はクラウドシステムを活用し、人事が綿密に管理しています。
そのため、もしも働き過ぎている従業員がいれば、対応が可能な体制も出来ているのです。
他にも、福利厚生の充実化や社員教育などにも力を入れて、安全・衛生のリテラシー向上にも努めています。
日頃の健康管理や産業保健活動についてお聞かせください。
健康診断とストレスチェックが産業保健活動の土台になると考えております。
そこで、健康診断の受診率とストレスチェック受検率100%を目指して、対象者全員に受診・受検を義務化。その結果をもとにして産業保健活動を行っています。
具体的には、健康増進や生活習慣病予防に向けたイベントの企画をはじめ、健康相談窓口の設置、カウンセリングの実施など、様々な施策に取り組んできました。
また、もし健康診断の再検査が必要な従業員がいた場合には、産業医からの受診勧奨を行ってもらうようにしています。
同時に、当社では産業医による職場巡視にも力を入れています。
倉庫業として「労災を無くす」という視点で産業医に巡視を行ってもらうことはもちろんですが、近年ではアルコール消毒液の数や配置場所など、感染症対策に関するアドバイスもしてもらうようになりましたね。
産業医との活動を強化し、全社的に広めていきたい
産業医は内科医を選任されていますが、選任時にこだわったことがあれば教えていただけますか。
安全と衛生の両方を網羅し、かつ的確なアドバイスをしてくれる産業医を探していました。
ですので、労災防止に関する知識があり、感染症やメンタルヘルス不調の対策に協力的な産業医が選任できたことは良かったと感じています。
特に感染症に関しては、産業医の訪問時に適切かつ最新の情報を提供してくれますので、とても助かっていますね。
ちなみに、エムステージさんのサービスを選んだきっかけは、得意先の企業からの紹介だったのです。
話を聞いてみると、産業医の選任後もサポート体制があることや、日々の産業保健活動に便利なクラウドツール(M Connect)が利用できることを知りました。
もちろん、地元の医師会や他社サービスによる産業医の選任も検討しましたが、大半は選任後のサポートまでは行っていないようでしたので、支援の手厚さが決め手になりました。
産業保健活動に関しては、日々のバージョンアップが必要な取組みだと考えていますので、サポートがあるのはうれしいですからね。
今後の産業保健活動に関して、意気込みや展望をお聞かせいただけますか。
働き方や福利厚生については、全社的に充実化を進めてきました。
例えば、フレキシブルな働き方を採用していることや、業務の効率化を促進するシステムの導入で、生産性の向上が実現できています。
その上、福利厚生に関しても同様、前述した健康相談窓口は社員の家族も使えるようになっておりますし、もし通勤事故が発生してしまっても労災認定前に一時金が拠出されたり、最近ではコロナウイルスに罹患し休んだ際にも補償される保険に加入するなど、安全衛生に関する取組みにも注力しています。
大きな拠点には色々な専門分野の産業医が選任されていますが、一方で従業員が50名未満の拠点には産業医がおりません。 “すべての事業場で同水準の産業保健活動を行っていきたい” という考えの元、Web会議ツールを使用して産業医不在の拠点にも、各専門分野の産業医のアドバイスを頂けないか、運用を検討しています。
現在でも各事業場の担当者が定期的に集まり、安全・衛生に関する課題の共有や解決に向けたプランの策定などを細かく行っておりますので、強化という意味合いです。
従業員数の規模にかかわらず、職場巡視や衛生委員会の重要性は変わらないですからね。