事故や災害により損壊した車両のリユース事業を展開する株式会社タウ。産業廃棄物となる損害車を買取り、世界126カ国以上へと販売しています。
6年連続で健康経営優良法人に認定され、過去には大規模法人部門ホワイト500にも認定されたことがある同社に、健康経営の取り組みについてお伺いしました。
| 臺様(2008年入社) 広報部、営業部の経験を経て、2024年11月より総務部長に着任。総務課・CSR推進課・健康管理課の統括責任者を担う。健康経営推進プロジェクトリーダーを担当。 森重様(2024年入社)/ 肥田様(2025年入社) 社内保健師として、総務部健康管理課に所属。従業員の健康管理・安全衛生関連の業務を担当。 |
6年連続「健康経営優良法人」認定取得の背景には、健康管理課による細やかなフォロー

貴社ならではの働き方における課題を教えてください。
臺様:拠点や部署によって抱える健康課題はさまざまですが、なかでも長時間労働は大きな課題の一つです。
当社は損害車を扱う事業特性上、大雨などによる水害が発生すると、被災車両の引取り対応が集中し、一時的に業務量が増加します。
梅雨や台風シーズンなどの繁忙期には長時間労働が発生しやすいため、休日をこまめに取得できる体制づくりや、連続勤務を避けるための適切な勤務管理、心身のサポート体制の強化が重要だと考えています。
森重様・肥田様:また、屋外で作業する従業員も多く、肉体的負荷の大きい業務が中心であることから、身体的な疲労や負担が蓄積しやすい傾向があります。
特に、暑熱や寒冷といった厳しい環境下での作業や、長時間の立ち仕事などにより、日々の業務の中で体力的な消耗が大きいことも課題の一つと認識しています。
業務負荷軽減を目的としたマッサージ費用補助制度や、本社での施術機会を設けており、従業員からも好評です。
組織として解決すべき重要な健康課題と捉え、特に重点的に対策をされていることはありますか?
森重様・肥田様:平均年齢の上昇に伴う生活習慣病のリスクは、見過ごせない課題だと捉えています。
喫煙や運動不足といった生活習慣の課題を抱える従業員が一定数存在しています。しかし、健康診断で有所見があっても再検査を受けずに放置してしまうケースが見受けられることは、大きな懸念です。
症状の悪化を招くだけでなく、生活習慣の根本的な改善にも結びつきにくいため、組織としていかに受診を促すかが重要な課題となっています。
対策として、生活習慣病リスクの高い従業員には保健師による個別面談を実施し、再検査の重要性を伝えると同時に生活習慣の改善をサポートしています。また、費用の補助制度を設けることで、受診への心理的・経済的なハードルを下げました。
さらに、朝食欠損対策として早出出勤者への食事補助や、運動イベントの開催、毎月の「健康通信」の発行など、多角的なアプローチも展開中です。
これらは生活習慣の改善だけでなく、ヘルスリテラシーの向上や、社内コミュニケーションの活性化も目的とした幅広い取り組みとなっています。
健康管理課としてさまざまな施策を実施されているのですね。メンタルヘルスにおける課題はいかがでしょうか。
森重様・肥田様:業務の特性上、職場やチーム内でのコミュニケーション機会が限られており、困りごとを一人で抱え込んでしまう傾向があります。大規模な水害が発生した時など、繁忙期における疲労やストレスの蓄積が課題です。
不調を見逃さないために、所属部署内で定期的に1on1ミーティングを実施し、日常的なコミュニケーションの中から不調の早期発見・早期対応につなげるようにしています。
また、上司や同僚には相談しにくい内容など、安心して気軽に相談できる環境づくりとして、私たち保健師が救護室に1日在室し、メンタル不調を含む健康相談に応じる日を毎月設けています。
あわせて、より匿名性を保ちたい場合や、社外の専門家に意見を聞きたいケースを想定し、社外相談窓口の利用制度も整備しました。
そのほか、新入社員を対象としたセルフケアセミナーや、新任支店長を対象としたラインケアセミナーを実施するなど、職位や立場に応じたフォローを徹底しています。
産業保健体制を見直し、「攻め」の健康経営へ
エムステージの産業医紹介サービスを導入した背景や決め手を教えてください。
臺様:前任の産業医との契約終了を機に、産業保健体制の見直しを行いました。単なる後任選定ではなく、健康経営の推進を見据えて、当社に必要な産業医像を明確にし、体制強化を図ることが目的でした。
エムステージを選定した決め手は、産業医紹介の他にも、ストレスチェック結果や健康診断結果などの一元的な管理が可能で、運用効率と従業員満足度の向上が期待できた点です。
加えて、当社の方針や課題を丁寧にヒアリングいただき、最適な産業医をご提案いただけた点も大きな決め手となりました。
産業医選任後はどのような変化がありましたか?
森重様・肥田様:職場巡視の際に、棚の上に配置していた観葉植物について、地震発生時の落下による危険性を産業医の先生からご指摘いただきました。
これを受け、安全衛生委員会で協議のうえ、接地面に固定用テープを貼付し、落下防止対策を実施しました。
また、緊急時の避難経路確保の観点から、入口付近に置かれていた郵便物の配置方法についても助言をいただきました。社内で情報共有を行い、現在は避難経路となる通路の確保を最優先とし、一時保管する郵便物等の配置方法を工夫しています。
こうした取り組みを通じて、従業員一人ひとりが災害時の安全確保や職場環境への配慮を意識するようになり、日常的に整理整頓や危険箇所への注意を払う意識の向上につながっています。
健康管理システム『HealthCore』を導入された背景を教えてください。
臺様:従来は健康診断結果とストレスチェック結果の管理をそれぞれ別のツールで運用していました。
そのため情報が分断され、健康状態を総合的に把握・分析することが難しく、効果的な施策の立案や実施につなげにくいという課題があり、『HealthCore』を導入しました。
個別に管理していた情報が統合され、従業員の健康状態を「全体像」として可視化できるようになりました。 これにより、管理業務の効率化だけでなく、従業員への周知やフォローアップの迅速化も実現しています。
今年度から本格的に導入したため、具体的な効果の検証はこれからとなりますが、データに基づいた健康増進へのアプローチが可能になり、これまでの「管理中心」から「予防・改善中心」への転換を支援してもらえています。
今後は分析結果をもとに、当社の課題に応じた精度の高い「攻め」の施策を、よりスムーズかつ的確に行える体制を整えていく予定です。
「社内保健師×外部サービス」の連携で健康管理業務を効率化

保健師のお二人が担う役割と、エムステージのサービスに期待する役割について教えてください。
森重様・肥田様:従業員の健康を守る保健師として、日常的な健康相談対応や保健指導、面談を通じた不調の早期発見・予防を行うとともに、産業医や関係部署と連携した健康管理体制の中核を担っています。
一方で、エムステージのサービスには、社内リソースだけでは対応が難しい領域を補完いただくとともに、システム導入による情報管理の効率化を通じて、健康管理業務全体の作業効率向上につながることを期待しています。
全国に拠点がある貴社ならではの健康管理上の課題はありますか?
森重様・肥田様:従業員の安全と健康を守ることが、企業として何よりの優先事項です。とりわけ全国に拠点や工場を展開する当社においては、熱中症対策が大きな課題となっていました。
折しも今年度は熱中症対策が義務化された大きな節目となります。単に法令を遵守するだけでなく、全国どの現場においても高い水準で安全を確保できるよう、全社統一の指針に基づいた対策と注意喚起を徹底する必要がありました。
そこで、エムステージの業務管理クラウドツールにて提供されている、熱中症に関する衛生講話資料を活用して社内セミナーや、掲示による啓発を全国の拠点で実施しました。これにより、全社的な安全・健康意識の底上げにつながっています。
「物心両面の幸福」を目指し、ホワイト500の再認定を視野に取り組む健康経営推進
直近で特に注力して取り組んでいきたいテーマや、解決を目指している課題はありますか?
臺様:従業員のヘルスリテラシーを高めるための取り組みをこれまで以上に推進し、一人ひとりがセルフケアへの意識を高められるよう、「予防」を軸にした健康施策に注力していきたいと考えています。
また、これまで推進してきた健康経営施策は一定の成果を収めている一方で、蓄積されたデータの横断的な分析に基づき、改善サイクルを確立することが今後の課題です。
健康管理システム『Health Core』を最大限に活用することで、部門や属性別の課題を精査し、より根拠のある精度の高い施策を展開していきたいです。
組織全体で予防的な健康施策をさらに深化させ、メンタルヘルス不調の未然防止や喫煙率の低減、労働環境の適正化、さらには再検査受診率の向上といった具体的な取り組みを加速させていきます。
健康経営における今後の展望を教えてください。
臺様:「データに基づく改善」と「自律的な健康増進」を両輪で進めることで、従業員の健康を本質的に守るとともに、ホワイト500の再認定を見据えた質の高い健康経営を推進してまいります。
当社が目指すのは、従業員の幸福を起点に“積極経営”を実現し、人と会社が持続的に成長し続ける組織づくりです。その実現に向け、従業員の健康を「会社の成長を支える重要な経営基盤」と位置づけ、誰もがいきいきと働ける環境づくりに全社で取り組んでいます。
また、従業員同士が互いを尊重し、力を引き出し合える風土を醸成するとともに、挑戦を後押しする“風通しの良い文化”を、より強固なものにしていきたいと考えています。
こうした歩みの先に、会社と従業員が共に高め合い、物心両面の幸福を分かち合える企業への進化を目指してまいります。