国内外で米菓を中心とした食品事業を展開する亀田製菓株式会社。健康経営優良法人2025やプラチナくるみん2024の認定を受けるなど、健康経営推進に取り組んでいます。亀田製菓ならではの健康課題や取り組み、ストレスチェックツール『Co-Labo』を導入いただいた感想について、お話をうかがいました。
吉田様:2010年亀田製菓株式会社入社。システム開発部を経て、2016年より現職。2022年より安全衛生や健康管理業務を担当。2023年より健康経営推進プロジェクトの総務部担当として従事されている。 |
「まずは健康について“知る”ことから」従業員参加型の施策でヘルスリテラシー向上へ

健康経営推進プロジェクト立ち上げの経緯について教えてください
亀田製菓グループの経営課題の1つである「人的資本経営」の取り組みの中で、企業成長のためには、従業員の健康促進は必要不可欠という考えのもと、2023年より「健康経営」の推進を開始しました。
総務部が中心となり、各工場のメンバーとチームを組んで健康経営推進プロジェクトを立ち上げ、健康経営優良法人2025の認定に至りました。
健康経営を推進するにあたり、どのような課題があったのでしょうか
まず、プロジェクトメンバー同士で「亀田製菓の健康課題は何か?」と課題を見つけるところからスタートしました。
各メンバーの現場感覚から「こういう課題がありそう」と意見を出し合い、健診データなどの具体的な数値と照らし合わせていった結果、「疾病の早期発見・治療」「転倒による労働災害の削減」「メンタル不調者の低減」という、3つの健康課題が見つかりました。
しかし、この3つの課題に取り組むうちに、そもそも従業員が自分たちの健康状態にあまり関心を持っていないことに気が付きました。健康について知ってもらう必要があると考え、現在はヘルスリテラシーの向上にも努めています。
ウォーキング促進や食習慣改善など、毎日の健康行動をサポートしてくれるヘルスケアアプリを導入したり、手のひらをセンサーに当てるだけで、野菜の摂取量が計測できるツールを利用したりと、従業員が楽しみながら健康への意識を高めてもらえるような施策に取り組んでいます。
他にも、骨密度の測定など、普段は見えない身体の状態を、数字で見ることができるので、従業員の反応も良好でした。一過性のものではなく、継続的に計測する場を設けることで、身体の変化を知る楽しみを感じてもらえるようになってほしいです。
従業員の変化をすぐにキャッチできるよう、看護師と連携した体制で早期発見、予防を目指す
亀田製菓の3つの健康課題について教えてください
1つ目が「疾病の早期発見・治療」です。例として、毎日決まった時間に3食バランス良く食事ができれば良いのですが、工場勤務者は1週間ごとの交代制で勤務している方が多く、生活リズムが不規則になりやすいことが起因となり、タイミングが合わずに欠食する従業員が多いようです。1日2食になると、1度にまとめて多くの量を食べてしまうので、高血糖や肥満などの生活習慣病が懸念され課題となっています。
仕事やプライベートに支障が出てから対策するのではなく、早い段階で違和感に気づき、重症化を予防していくことが重要だと考えています。当社では従業員の体調不良や健康管理についてサポートができるよう、本社および各工場に看護師がおります。また、健康経営推進においてもメンバーとして一丸となって取り組んでいます。
また、きちんと食事を摂ってもらえるように、各拠点に社員食堂を整備しています。新潟本社の社員食堂では、スマートミール®の基準を満たした食事を毎日提供しており、従業員からも好評です。栄養バランスの良い食事をして、元気100%の状態でいきいきと働いてほしいという思いがあります。
※スマートミール®とは、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」(平成 27 年9月)を基本とした、健康に資する要素を含む栄養バランスの摂れた食事の通称。
2つ目が「転倒による労働災害の削減」です。世間的にも転倒災害は年々増加傾向にありますが、弊社も同様に増えています。
職場巡視で危険箇所がないかをチェックしたり、注意喚起をしたりしていますが、従業員自身が転倒しない身体づくりをすることも重要です。加齢とともに筋力が低下してくるので、従業員に向けた転倒予防セミナーの実施などを行っています。
3つ目が「メンタル不調者の低減」です。転倒災害と同様、世間一般的にもメンタル不調者はコロナ禍以降急増しているようですが、看護師からも、メンタル不調者が増えているという声があがっていました。
毎月1回、各拠点で産業医面談が実施できるように体制を整えていますが、悩みごとがあっても「社内の人には相談しづらい」「誰にも相談したくない」というケースもあるので、外部のEAPサービスを案内したり、eラーニングでセルフケアの学習を勧めることもあります。
また、メンタル不調の予防や重症化の防止をするためには、従業員の心身の状態を正しく把握する必要があると考え、ストレスチェックツール『Co-Labo』の導入を開始しました。
『Co-Labo』で可視化された、従業員の心の健康状態
ストレスチェックツール『Co-Labo』を導入する前に感じていた課題はありますか?
『Co-Labo』を導入する前は、法令対応のための必要最低限のストレスチェックしかできておりませんでした。健康経営を推進するにあたり、もう少し詳しい情報が必要だと感じている中で、『Co-Labo』はプレゼンティーズム尺度の測定ができる点や、会社独自の設問を設定できる点が魅力でした。
また、『Co-Labo』導入前までは紙での受検でしたが、「Web受検にしてほしい」という声があがっていました。PC環境がない一部の現場を除いて、書類の取扱いが不要になったので、業務での負担が軽減されました。
昨年度よりご利用いただいている、ストレスチェック結果の報告会についてはいかがでしょうか
グループ会社を含む、3社のストレスチェック結果について、非常に細かい点まで分析していただきました。全国平均と比べて、高ストレス者が多いのか少ないのか、プレゼンティーズム・アブセンティーズムの数値が高いのか低いのかなど、職場環境改善の参考になる情報が多くありました。報告会の情報をもとに、まずは何から改善していくべきか検討しているところです。
従業員が自発的に健康づくりに取り組む企業を目指して
「プラチナくるみん」にも認定されていますが、仕事と育児の両立支援について、取り組まれていることを教えてください
出産時に男性が休暇を取得しやすい仕組みや風土づくりを行っています。2018年より、「ハイハイン休暇」を導入し、配偶者の出産後に特別有給休暇を使用できる仕組みを整えました。育児休暇とは別に有給休暇が3日間付与され、配偶者の退院や産後検診の付き添い、子どものお世話などに活用してもらっています。
制度があっても利用しにくいと感じている従業員も少なからずいるようなので、「男性も育児休暇を取得して良い」という風土を浸透させる必要があると考え、男性の育休取得を促進するポスターや啓蒙活動を行っています。
また、健康診断の問診結果から、男性従業員と比較して、女性従業員は睡眠をきちんと取れていない割合が高いことが分かりました。働くママさんたちの健康のため、会社としてサポートできることがないか検討しなければいけないと考えています。
健康経営の推進において、今後の展望を教えてください
健康経営の取り組みについて、まずは「健康を知る」をテーマに、健康課題やビジョンなどの浸透をはかっていきたいです。
そのためには、従業員全体に向けたヘルスリテラシーの向上施策に加え、管理職などのキーパーソンとなる人たちに向けた、健康経営を理解してもらう取り組みが必要と考えています。
ゆくゆくは、「健康が会社にとって文化だよね」「亀田製菓らしい取り組みだね」といってもらえるような状態が理想です。こちらから推進をしなくても、従業員が自発的に健康づくりに取り組む企業を目指し、今後も取り組んでいきたいです。