大阪府と兵庫県でフィットネスクラブ・スイミングスクールを6店舗運営する株式会社関西テレビライフ。従業員の健康保持増進のため、さまざまな健康経営施策に取り組み、健康経営優良法人2024の認定も受けています。
健康経営優良法人認定を目指した経緯や具体的な取組について、代表取締役社長の古市さん、総務部部長の合田さん、グループ会社である株式会社ウエルネスライフの四元さんにお話をうかがいました。
古市 忠嗣さん:1986年関西テレビ放送入社。営業、編成制作、コンプライアンス部門などを担当した後、2021年に関西テレビライフ代表取締役社長に就任。
合田 康さん:1989年関西テレビライフ入社。2007年~2021年まで事業所支配人として勤務した後、2021年より総務部部長として着任。
四元 輝実さん:1988年株式会社日本体健に入社。1991年7月株式会社ウエルネスライフに移籍。1988年~2019年まで水泳、ジムの指導を担当。2020年1月より本社勤務となる。
健康意識向上の「旗印」として健康経営推進に着手
健康経営優良法人2024の認定を目指した経緯を教えてください
古市社長:弊社は「会員の健康増進と子どもの心身の健全な発達に貢献する」という経営理念を掲げて、地域の会員様の健康づくりをサポートしています。経営理念の実現のために、まずは従業員自身の健康意識を高め、心身の健康が保たれていることが重要だと考え、そのための「旗印」として健康経営優良法人認定の取得を目指しました。
また、私たち関西テレビライフとウエルネスライフは、関西テレビグループ全体の健康管理を行う役割も担っています。
たとえば、特定保健指導の対象となった従業員に対して、関西テレビ健康保険組合と連携し、改善のためのアドバイスやパーソナルトレーニングを行ったり、グループの全従業員を対象にインボディ測定会やロコモ度テストなどを実施したりと、健康意識の向上に努めています。
グループの親会社がテレビ業界という特性上、どうしても長時間労働が生じやすい業種です。弊社がグループの健康管理や指導を担う立場として、健康経営優良法人認定を取得することで、グループ全体の働き方を見直すきっかけとして良い影響を与えたいという思いもありました。
貴社が抱えている健康課題について教えてください
四元さん:インストラクターは、変形労働制のため夏休みなどは12時間勤務の日もあります。長時間労働によるストレス発散として飲酒や喫煙をする従業員が多いのが懸念です。
また、0歳から90歳代まで幅広い年代のお客様にご利用していただいているため、人命を預かることへの責任感やプレッシャーによる心理的負担も大きいと思われます。
合田さん:フロントスタッフは、立ったまま、座ったままの姿勢でいる時間が長く、また平均年齢が50歳を超えているため、血圧・肝機能・血糖など生活習慣病のリスクがある従業員の割合が多いです。
メンタル面に関しては、接客業ならではのコミュニケーションによるストレスがあります。さまざまなトラブルに対して臨機応変な対応が求められるため、経験が浅いフロントスタッフは苦労することも多いようです。
古市社長:顧客対応によるメンタルヘルス不調は世間的にも話題になっていることもあり、近いうちにカスタマーハラスメント研修を実施予定です。研修内容は各社員が店舗に持ち帰り、パート・アルバイトにも事例を共有することで、全従業員がメンタルヘルスケアの方法を学ぶ機会になればと考えています。
産業医と伴走し健康経営優良法人2024認定取得を実現
エムステージの産業医サービスを導入した経緯と、導入後の取組を教えてください
合田さん:健康経営優良法人の認定を目指して、健康経営の推進に知見があり、メンタルヘルスと内科の両方に精通している産業医の先生を探していました。
弊社の拠点である大阪にもエムステージの事業所があり、対面で打ち合わせをしたうえで希望に合う先生を紹介していただけた点が良かったです。
先生には健康診断やストレスチェックの結果から、弊社の健康課題にあわせて、取り組みやすい施策の提案をしていただいています。
例えば、勤務時間が不規則なことから、食事時間が十分に取れていない従業員がいることを伝えると、衛生講話で「糖尿病と食事」のテーマを扱ってみてはどうかと提案してくださいました。
食事内容や時間をどのように工夫すれば健康に良いのかを指導していただき、従業員が新たな知識や気づきを得る機会になりました。
また、デスクワークによる身体の不調に悩む従業員に向けて、先生の実演による腰痛体操の動画配信や、肩こり・眼精疲労の改善のためのマッサージ方法のレクチャーもしていただいています。
先生の引き出しが非常に豊富で、無理なくさまざまな施策を実施することができ、めでたく健康経営優良法人2024を取得することができました。
健康経営の推進によって、従業員の方の健康意識に対する変化はありましたか?
合田さん:社員に運動習慣を身につけてもらうためにウォーキングイベントを実施した結果、イベント終了後もウォーキングが習慣になったという従業員が多くいます。
イベントでは全社員が1日8,000歩を目標に、事業所対抗で歩数を競い合いました。参加率は100%で、優勝者の年間平均歩数は15,740歩、全社平均も9,543歩と目標を上回りました。
デスクワークが多い本社の従業員やフロントスタッフにとって、運動を始める良いきっかけになったのではないでしょうか。
また、本社はほとんどが男性従業員のため女性特有の健康課題については疎かったのですが、産業医の先生に相談させていただき、疾病に関する知識や対応方法について理解を深めることができました。
70歳まで健康に働き続けられる組織を目指して、健康経営に「取り組み続けたい」
健康経営推進においての現在の課題があれば教えてください
合田さん:健康経営の推進は本社主導で行っているため、各店舗の従業員がどこまで「自分ごと」として取り組めているのか実態が分かりません。
「本社から言われたからやる」のではなく、従業員が各現場で主体的に行動できる仕組みづくりを進めていきたいです。
そのためには「健康経営とは何なのか」や「会社としての取り組みの方向性」などを理解してもらう機会が必要だと考えています。
最後に、健康経営推進に関して今後の展望を教えてください
合田さん:これまで従業員が培ってきた経験やスキルを活かして、長く会社に貢献してもらえる体制づくりに努めたいと考えています。
その先駆けとして今年度より、最長70歳まで働ける雇用延長制度を導入しました。
古市社長:長く働き続けるためには、心身の健康に加えて「お金の健康」も重要だと考えており、現在は確定拠出年金制度の創設に向けて取り組んでいます。
また、弊社には健康保険組合独自の給付制度があり、不測の事態が起きた時でも自己負担額は非常に少ないです。しかし、まだまだ給付制度について従業員への周知が足りていないようなので、きちんとセーフティーネットが用意されていることを浸透させたいです。
健康経営の推進で最も大切にしたいのは「継続すること」だと考えています。これまで衛生講話やウォーキングイベントなど、健康づくりのために産業医の先生と一緒に取り組んできましたが、健康診断の数値改善など目に見えてすぐに効果を発揮するものではありません。
従業員ひとりひとりが「自分ごと」として捉えて行動するようになるまで、継続して発信をしていくことで少しずつ意識改革につながっていくだろうと信じています。
従業員に一日でも長く健康に働いてもらうことが私の一番の願いなので、これからもさまざまな施策に取り組み続けたいです。