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アサヒ飲料販売株式会社

「従業員にいつまでも元気に働いてもらいたい」アサヒ飲料販売が取り組む職場環境改善

アサヒ飲料販売株式会社 / 人事部 / 釜 聖之輔 様

  • 導入の背景

    グループ会社の取り組みからグループ各社での取り組みに切り替わるタイミングで産業医紹介サービスを導入

  • 導入の効果

    即戦力ですぐ働いていただける産業医と保健師が必要で、すぐに就業判定や面談の対応をしていただけたので助かっています。

自動販売機の設置や運営、メンテナンスを行うアサヒ飲料販売株式会社。従業員の健康のためにさまざまな職場環境改善に取り組んでいます。

ルートセールスならではの健康課題や、同社のこれまでの働き方の変化について、人事総務部の釜さんと産業保健師の新井さんにお話を伺いました。


右:釜 聖之輔さん
2008年にアサヒ飲料販売へ入社。5年間ルートセールスに従事し、その後マネージャー、支店長を務める。現在は本社人事のグループリーダーとして、経理業務や人事評価、労務管理から採用活動まで幅広く担当されている。

左:新井 美智子さん
2010年にアサヒ飲料販売へ入社し、首都圏と中部の産業保健業務を担当。以前は病院や保健所に勤務。医療職としてだけでなく人事としての視点を持ちながら同社の産業保健活動に精力的に取り組まれている。


個人からチーム制に変更することで柔軟な働き方を実現

アサヒ飲料販売 個人からチーム制に

自動販売機のルートセールスならではの健康課題を教えてください

釜さん:長時間労働と、体力面の課題があります。

長時間労働については、チーム制を導入したことで現在はかなり改善されています。
以前は自身が担当する自動販売機の売上をそれぞれ個人で管理をしていたので、基本的に他の人の自動販売機を回ることはありませんでした。しかし自動販売機は24時間365日稼働をしているので、どうしても売上を上げるためには休みを取りづらい状況になっていました。

そこで、約7〜8年前に個人担当制から複数のメンバーで同じエリアを担当するチーム制に体制を変更しました。
チームリーダーがメンバーを牽引してお互いサポートしあうことで、用事がある時や体調が悪い時に休みが取れるようになっただけでなく、休日に売り切れが発生することを抑制できるようになり、機会損失を防げるようになったのは、昔と比べて大きく変わった点です。

体力面に関しては、チーム制の導入に伴いセールスサポートと副担当という職務を新しく作りました。
セールスサポートは、自動販売機に併設されている空き容器を回収する担当です。飲料の納品業務と比べると空き容器の回収作業の方が体力的には負担が軽減されるので、とくに年齢による体力に不安があるメンバーに従事してもらっています。
副担当は、助手席に同乗し運転手の自動販売機への補充をサポートする担当です。交通量が多いルートで主担当が自動販売機への補充を行っている間に、車で待機し急な車移動などの対応をしてもらっています。

年配の方に長く働いてもらうために工夫していることはありますか?

新井さん:40~50代の方々は、若い世代よりもみなさん元気だなと感じます。昔の過重労働時代をくぐり抜けてきた人たちですから。
体力が必要な仕事なのでどうしても身体への負荷は大きいですが、業務に慣れているので自分で動き方を工夫しているようです。

釜さん:腰痛などを理由にルートセールスを続けるのが難しいという場合には、フォークリフトに乗って飲料の整理をする倉庫業務や、内勤での事務作業をお願いしています。

売上予算に対するプレッシャーなど、メンタルヘルス不調の課題はありますか?

釜さん:個人でエリアを担当していた時は、遅くまで自動販売機を回ることで帰宅が深夜になるようなこともありましたが、チーム制になったことで予算へのプレッシャーはかなり少なくなり、働き方も変わっていると思います。

以前のルートセールスは、月の締め日にどれだけ自動販売機を回れるかが勝負でした。締め日のタイミングで全ての自動販売機の売上が自動で計上されるわけではなく、自動販売機を回って売上を収集した時点で計上されます。そのため、月の締め日には回れるだけ回って数字を作らないといけないという文化がありました。

新井さん:その頃はプライベートの時間が取れずに、自動販売機を見るのも嫌だという方が多くいました。現在では労働時間の管理が非常に厳しくなっているので、残業時間が上限に達しそうな時には、人事が積み込みを手伝うこともあります。

釜さん:締め日に数字を押し込む方法では翌日の売上が立たなくなってしまい、毎月いたちごっこになるので意味がなく、締め日の前に遅くまで頑張るような考えは無くなりました。
また完全フレックス制を導入しているので、朝早くに業務開始をして夕方にはお子さんのお迎えに行ったり、予定がある日には早めに業務を終わらせたりなど、プライベートと仕事の両立ができている人が多いです。

新井さん:以前は予算へのプレッシャーや激務によるフィジカルやメンタルヘルスの不調がありましたが、現在ではどこの会社にも共通する人間関係についての悩みが増えました。
一人親方のような職人スタイルでいた人が、チーム制になったことで周りとのコミュニケーションが必要となり人間関係に悩むケースなどがありました。悩みの質が、昔と比べると大きく変わってきています。

男性の従業員が多い中で、女性の従業員ならではの健康課題や配慮していることはありますか?

釜さん:一番の課題は設備です。トイレや更衣室など、設備面での受け入れ態勢が整っていないと配属ができないからです。大きい支店の方が設備は整っているので、配属や配置を検討する際に考慮しています。

またルートセールスは1箱12〜15キロほどの重量物を扱うので、女性だと体力的な面で制限されてしまうのも課題です。ただし、やはり熱意があれば性別は関係なく一緒に働いてほしいと考えているので、現在は女性のルートセールスも活躍しています。

新井さん:手で抱えて運ばなくていいように、ショッピングモールのような台車を使えるエリアなど、担当のルートには配慮しています。

釜さん:そうですね。エレベーターがないところなど、階段で3階まで納品しなくてはいけないなどのルートへの配置は避けるようにしています。

熱中症対策として空調服を導入

年中小対策として空調服を導入

繁忙期である夏場の健康管理のために実施していることはありますか?

新井さん:繁忙期が終わる9月頃に経験の浅いメンバーが体調を崩すケースが多いです。
特に外を回る仕事なので熱中症を起こしやすく、毎年予防の発信はしているものの、個人の努力では限界がありました。

しかし昨年は課題への対策として会社で空調服を導入したことで、医療機関を受診するような重度の熱中症は防止することができました。ほとんど毎年熱中症による労災が発生していたところ、昨年はゼロにできたので、従業員の健康のために改善することができて良かったです。

釜さん:また弊社は飲料販売会社なので、夏場は1日8本まで自動販売機から冷たい飲み物を取り出して飲むことができます。
1日に自動販売機を20〜30件ほど回るため、2〜3件に1本は水分を取るように指導しています。

即戦力となる産業医と保健師が必要だった

エムステージの産業医選任サービスを利用した感想を教えてください

釜さん:元々はグループ会社の取り組みとして就業判定や面談対応を実施していましたが、自社内で対応することになったためエムステージの産業医選任サービスを利用することになりました。
臨床医の視点よりも産業医の視点を持っていて、就業判定がきちんとできる先生を希望していました。非常にスムーズに対応していただいています。

新井さん:自社で教育をするリソースがなく、即戦力ですぐ働いていただける産業医と保健師が必要でした。そのため業務委託という形を選択しましたが、何の問題もなくすぐに就業判定や面談の対応をしていただけたので助かっています。
以前までは常勤で対応していた業務量を、週に数回の限られた時間でこなしてもらっているので本当にありがたいです。

いつまでも健康で長く働いてもらうために

いつまでも健康で長く働いてもらうために

アサヒグループとしての健康推進の取組を教えてください

新井さん:アサヒグループホールディングスの直下で国内の事業を統括するアサヒグループジャパンに、健康支援センターが設置されており、健康保険組合と共同で健康づくりに関する取組を推進しています。
卒煙キャンペーンとして禁煙外来の費用負担や、生活習慣改善の記録をつけるとポイントになったり、歩数を記録したグループ対抗戦を行ったりしています。グループ全体での取組になるので、インターネットを活用した施策が多いです。

弊社では、携帯電話は自動販売機の端末と連携されているので、自宅に持ち帰ることができません。パソコンも一人一台支給しているわけではないので、プライベートと仕事が完全に切り分けられているのは良い面ですが、インターネットを活用した取組への参加が難しくなっています。

グループとしてさまざまな施策を実施しているので、参加できるものには積極的に取り組んでいきたいと考えています。また喫煙率が非常に高いので、今後の課題です。

さらなる業務効率化に向けて今後実施することはありますか?

釜さん:自動販売機の飲料販売状況が容易に把握ができるシステムを導入予定です。

現状では、まず自動販売機へ行き、一度トラックに戻って売れた本数分の飲料を揃えます。飲料を自動販売機に補充をしてから再びトラックに戻るので、1台の補充に2往復していることになります。事前に必要な本数を揃えた状態で補充をしに行けばいいので1往復で済む形になります。

2024年から2025年にかけて導入していく予定なので、効率化が進むことでさらに労働環境が良くなっていくのではないかと期待しています。

従業員の健康課題に関して、今後の目標を教えてください

新井さん:若手の人材が不足しているので、いかに長く働いてもらえるかが課題です。

せっかく育てた若手が辞めてしまうと会社としては痛手になるので、残業を減らしたり休みを取りやすくしたりと、業務負荷がかかりすぎないように仕事のやり方をどんどん変化させてきました。
そういった会社の変革に対応できる人とできない人がいるので、メンタル面でのフォローも必要だと考えています。若い人は柔軟に対応できると思いますが、ベテランの人がこれまでのやり方と違うことに対して、ストレスを感じていないかなど、見落とさないように心がけています。

また腰痛を理由にルートセールスから離れる人を減らしたいです。
ルートセールスとして非常に優秀な人材だったのに、腰痛が理由で内勤に異動するケースもあるのでもったいないなと感じます。腰痛になる原因は仕事だけとは限らないのでなかなか難しいところではありますが、いつまでも元気に働いてもらえるように改善していきたいです。

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