関東圏を中心に、ガス・電気の総合エネルギー事業を展開する、日本瓦斯株式会社。人々の生活に欠かせないエネルギーを支える同社は、従業員が安全かつ健康に働くことが重要と考え、労働環境の整備や、健康経営の取り組みに注力しています。
従業員の健康管理に対する想いや、エムステージのサービス導入後の変化についてお話を伺いました。
澤田様:2015年より人事部門にて、労務、人事制度・企画、安全衛生などを担当。現在は人事部人事課長として責任者を務める。 矢野様:2006年に新卒で入社し、人事課に配属。産休・育休を経て復帰し、現在は育休管理などを担当。 小島様:2022年に新卒で入社し、人事課に配属。約2年前から休職者対応や健康管理に携わっている。 |
リスク管理と人材確保のため、法制化以前に着手した働き方改革

フレックス勤務制度やリフレッシュ休暇制度など、柔軟な働き方を推進されるようになった背景を教えてください。
澤田様:当社では、働き方改革関連法が施行されるよりもはるか前の2011年頃から、従業員のリスク管理と人材確保のため、社員が心身共に健康的に働ける環境を整備してきました。
営業社員の主な業務は、車でお客様のご自宅を一軒一軒訪問することです。運転を伴う業務の性質上、社員の健康維持は、事故防止のために欠かせません。
また、電気やガスを扱う仕事ですので、お客様の安全を守るため土日祝日の出勤も多く、休日が不規則になりがちです。
近年では「土日休み」や「年間休日日数」といったワークライフバランスを重視する求職者が増えていることから、さまざまな休暇制度やフレックス勤務制度を段階的に導入してきました。
運転事故リスク軽減のため、特に注力されていることはありますか?
矢野様:高血圧や糖尿病などの生活習慣病対策に注力しています。生活習慣病は重症化するまで自覚症状が現れにくいため、従業員自身の判断で通院を中断してしまうことが少なくありません。
しかし、治療を中断し症状が悪化すると、脳卒中や心臓病といった重大な疾患につながります。これらの疾患を運転中に発症すると、意識喪失や運転操作不能など、重大な事故を引き起こす危険性が高まります。
そのため、症状が悪化する前の早期発見・早期治療が重要であると考え、健康診断後の二次検査の受診勧奨を強化しています。2019年度からは健診システムを導入し、未受診者への案内をきめ細かく行っています。
このほか、管理職を対象とした脳ドックの受診も推進しています。実際に脳ドックによって、動脈瘤が見つかったケースもありました。早期発見の重要性を再認識し、取り組みを継続しているところです。
現在は、新任管理職には必須とし、その他の管理職には希望制で脳ドックの受診を促しています。
澤田様:ガスの点検作業やバイクで移動する従業員の、熱中症対策も欠かせません。安全衛生委員会では、各拠点における飲み物の配布などの対策が徹底されているかを、定期的に確認しています。
また、バイクを利用する従業員には空調服を支給し、安全に業務を遂行できるよう配慮をしています。
各拠点の自律的な安全衛生管理体制を目指し、産業医紹介サービスを導入

エムステージの産業医紹介サービスを導入された背景について教えてください。
澤田様:従業員がしっかりと休息を取り、健康意識を高められる環境づくりは急務であり、そのためには安全衛生委員会の体制見直しが必要だと考えました。
形式的なものに終わらせることなく、より実効性のある会議にするためには、専門的な視点から問題提起や助言をいただける産業医の先生の参加が不可欠です。
そのような課題を抱えていた時、エムステージの産業医紹介サービスを知りました。打ち合わせでの丁寧な対応や、紹介までのスピードの速さが決め手となり、安心して導入を決めました。
産業医紹介サービスの導入後はどのような変化がありましたか?
澤田様:各拠点が自律的に安全衛生に取り組む「自走できる体制」が整いました。本部からのトップダウンではなく、現場が主体となって独自の課題を持ち寄り、働き方の改善について議論するなど、積極的な活動へとつながっています。
ご紹介いただいた産業医の先生は、経歴だけでなく人柄も素晴らしい方ばかりで、現場の従業員と良好な信頼関係を築けている点も大変心強いですね。
復職支援サービスの導入背景を教えてください。
澤田様:従来は復職に関するノウハウが社内になく、場当たり的な対応になってしまっていました。休復職制度を整える中で、復職可否を判断するための客観的な基準が必要だと感じ導入をしました。
休職者には、試し出勤の期間中に、復職トレーニングのプログラムを実施してもらおうと考えています。実際に会社に出社して作業をすることで、復職を判断する上での客観的な指標の一つになると期待しています。
保健師ならではの視点で複雑化していた業務をスリム化
保健師紹介サービスの導入背景を教えてください。
小島様:前任者が勤務時間の都合が合わなくなり、当初は別の会社に後任者の紹介を依頼していたのですが、なかなか見つかりませんでした。そこで産業医の先生を紹介していただいたエムステージに相談したところ、すぐに紹介していただけました。
とても明るいお人柄で、フォローしていただいている従業員や、産業医にも良い影響が出ているようです。特に、産業医面談終了後の従業員の雰囲気が、以前よりも和やかになったという印象を受けています。
導入後はどのような変化がありましたか?
小島様:従来は保健師業務のマニュアルがなく、極めて属人的な対応となっていましたが、エムステージの保健師を導入したことで、業務フローの一般化がされました。
複雑になっていた業務のスリム化や、産業医による就業判定の補助資料の収集など、保健師ならではの視点で、さまざまな業務改善提案をしていただいています。
操作が少々複雑な健康管理システムや、グループ会社間の複雑な担当者関係など、通常は慣れるまで時間を要しますが、すぐに全体像を把握してスムーズに対応していただき、大変助かりました。
他社事例や医療知識も豊富で、疑問点に対してすぐに参考例や具体的な提案をいただいています。
また、新たに保健指導を開始しました。一定の基準に基づき対象者を抽出し、保健師の専門的な視点から「こうすればよくなりますよ」と具体的にアプローチしてもらうことで、従業員の健康への関心を高めることを目指しています。
特に生活習慣病については、保健指導を通じて病気に関する正しい知識を伝え、治療継続の重要性を理解してもらう働きかけを進めていただきたいです。
保健指導の開始に加え、人事が担当していた業務を保健師にお任せすることで、健康管理業務とその他の人事業務の棲み分けが明確になりました。
目指すのは「実効性のある」健康経営

今後の産業保健活動や健康経営の展望についてお聞かせください。
澤田様:健康経営に関する認定取得自体を目的とするのではなく、あくまで従業員にとって「実効性のある」取り組みを重視していきたいと考えています。そのためには、健康診断の結果を踏まえたフォローや保健指導といった「予防」の領域に、さらに注力していく方針です。
また、本社が一方的に施策を主導して現場の負担を増やすのではなく、各拠点の安全衛生委員会が主体となった活動をさらに後押ししていきたいと考えています。 現場の従業員一人ひとりが自律的に健康を考え、行動できる組織づくりを目指して、これからも取り組みを進めていきます。